介護は突然やってくる インテリアコーディネーター編
- 介護は突然やってくる
以前からこの言葉は目にしていたものの、あまり気にせず見て見ないふりをしてきました。
なぜなら、私にも高齢の母がおり、しかも一人で暮らしているから(暮らさせてしまっている)
事実があるからです。
しかし、2年前85歳になる母が腰椎圧迫骨折をしたことによりそんな事を言っていられなくなりました。
独居老人( 響きが重い )である彼女の住まいは築35年の木造2階建て。
かつて家族4人で賑やかに住んでいた家は当時のままです。しかも彼女の寝室は2階。
さて、どうするか・・・実体験をもとに介護のスタートと設計事務所が出来る事をご紹介します。
- 介護の第一歩 地域包括支援センターへの連絡とベットの導入
この時点までは、介護生活と縁のない環境であったため介護を申請することからスタート。
まずは、寝具の見直しが最優先との事から、ケアマネージャーさんが先行で介護ベットの
手配をしてくださりました。感謝感謝です。
介護ベットは高さの調整ができ小柄な母にもピッタリの高さに設定できたり、
骨折をしている体に合うマットレスを選ぶことができます。
更に、使用してみて不具合が感じられた時には相談に乗ってくださるとの事で
サービスの在り方が手厚く助かりました。
母の感想は
” (85年で)あれほど深く眠れたのは初めて ” だそうです(笑い)
- 設計事務所の業務をスタート リフォーム計画
気丈な母も骨折以来、階段の上り下りが怖くなりました。
’ 地震が来たら ’ ’ 泥棒が心配 ’
との理由から寝室を2階にしていたがそうはいっていられません。
リフォーム内容は、2階は封鎖し1階で生活を完結する事です。
2階には、寝室と共に洋服・ドレッサーなど日常使う物がかなりある。
それらの引っ越し先も充分考慮しながら図面を作成。
- 介護リフォームのポイント
■ 介護ベットの設置場所には気を付ける
ベットの設置場所を計画する上では、体の状態を見ながら決定をする必要があります。
母の場合、痛い場所を庇いながら利き手を利用して柵を持ち起き上がれるのは一方向でした。
お年寄りの場合、夜中にトイレ居行く回数が多い点も考慮します。
そして、導線上には開閉が楽な建具と手すりは必須となります。
また、介護ベットは重量がかなりあるので動かず事が容易ではありません。
■ ベット周りの充実
常備薬( 安眠剤 湿布薬など ) リモコン( 照明 エアコン )
携帯電話 タオル ティッシュ
手の届く範囲に置く物はたくさんある。
ゴチャゴチャにならず、取り出しやすく、ベット下に落ちにくいことに注意。
ナイトテーブルや小物( 置タイプ・掛タイプ ) を利用。
■ 洋服等収納場所の確保
和室をリフォームしたので、床の間・押入れを最大限活用
床の間を洋服収納(パイプ設置)と物入れに
押入れを洋服収納(パイプ・棚)にリフォーム
床の間・押入れが隣にあったので、まとめてかーてんで隠してみました。
引越時に2階に収納されていた洋服類を母監修のもと、分別・選別・選抜行いました。
限られた収納スペースに収まる量を理解してもらう事もリフォームを成功させる秘訣。
この際に、大胆な断捨離も必要です。
■ エアコンの取替
設置時期不明?のエアコンを取替。
これからは使用時間が長くなるので省エネタイプにしました。
リモコンのボタンが簡素で見やすい物がいいです。
■ 照明はリモコン式
リモコン一つで ON/OFF 強/弱 色 を選択できる照明。
足元灯もあると便利。
■ 手すりの設置
寝室からトイレまでの導線である廊下・便所内に手すりを設置。
これで夜間の心配も解消。
- 河野建築設計室として
” 安全で使いやすく 日々の生活が楽で居心地の良い空間へ ”
寝室に居る時間が多くなるのであるから、
” ずっとここに居たいくらい気持ちがいい ”
そう感じてもらう空間作りとしたいと思います。
実家のケースでは、壁の貼替をしカーテンを新たに設置し部屋の印象を明るく変えました。
リフォーム前の暗い聚楽の壁からオフホワイトの壁紙に変更し、
収納スペースとなった床の間には建具を設けず天井からのカーテンを設置しました。
また、押入の建具を取り払い、小さくなった母の手が届きやすい位置に、
パイプや棚を設け、洋服や物の出し入れをひと手間でできるようにしました。
出しやすい = 片づけやすい = 部屋がきれい
- 介護リフォームを経て思う事
介護はある日突然始まりました。
通院の介助・行政機関の手続きなど、介護をする側・される側共に慣れない作業の連続。
そこで、介護保険関係は専門機関にお願いするとして、河野建築設計室としてリフォームに於いての
お手伝いが出来るのではないだろうか。っと思いました。
介護用品ってどれも機能的であるがどこか味気ない・・
部屋の雰囲気がそれまでと変わってしまう事に寂しさを感じました。
私たちはそこにプラスの要素を取り入れたいと願います。